「年金は何歳から受け取れば一番トク?」「何歳まで受け取れば元がとれるのか?」という議論に意味はあるのか?年金の本質を理解すれば答えが見えてくる

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年金って積立貯蓄じゃないの?

最近、「年金は何歳から受け取るのが一番トクなのか?」「何歳まで生きれば元が取れるのか?」といった記事をよく見かけます。私はこういった「議論」には基本的に意味がない、と考えています。

こういった「議論」が出てくる背景には、年金(公的年金)の本質に対する「誤解」があるような気がしてなりません。

皆さんが支払っているのは「国民年金保険料」、つまり「年金」は保険なのです。ですが実際には「年金」を「積立貯蓄」と思っている方が意外と多いのです。そのために「損か得か」といった議論が出てきてしまうのです。

ではそもそも「保険」ってなんでしょう?

”病気やケガ、死亡、事故などの不測の出来事、火災、台風や地震などの自然災害、第三者への損害賠償責任の負担や事業で被る不利益など、リスクをあげればきりがありません。

しかし、このようなリスクに個人の力だけで対処するのは困難なことも少なくありません。そこで、同じように不安を感じている人々から一定の保険料を集めて、万が一の事態に備えようとするのが保険です。そして、被害に遭ってしまった場合は、その集まった資金の中から保険金を受け取ることができる制度なのです。

このような、「万人は一人のために、一人は万人のために」という相互扶助のシステムのもとで人々のリスクを軽減すること。これが保険制度のあらましであり、社会的な役割なのです”(引用:東京海上日動WEBサイト)

国民年金保険は「長生きリスク」に備えるための「保険」

では「国民年金保険」は何のリスクに備える保険なのでしょうか?それは「予想外の長生きリスクに備える保険」なのです。

自分が何歳まで生きることが出来るかは誰にもわかりません。90歳まで生きるだろうと予想して90歳までの生活費を確保していても、もし95歳まで生きてしまったら衣食住に困る状況に陥るかもしれません。長生きは幸せなことでもあると同時に「リスク」でもあるのです。

こういったリスクに対処するために生きていくために必要最小限な資金を死ぬまで国が補償してくれる仕組みが「年金」なのです。「年金」があることで長生きすることによる「不安」を解消してくれているわけです。つまり保険料の支払いと引き換えに「安心感」を得られるわけですね。

がん保険に入って、毎月保険料を払い込んでいる人が、がんに罹らなかったから「損した」とは考えないですよね。自動車損害保険に入って結局一度も事故を起こさなくても「損した」と文句を言う人はいないと思います。つまり保険に入っている人々は保険料でリスクに対する「安心感」を買っているかなのです。

「年金」も「保険」なのですから、65才からの受給開始で70才で亡くなってしまっても「損した」と考えるのはちょっと違う気がします。「年金保険料」を払うことで「これで何歳まで生きても大丈夫だ」という安心を手に入れた、と考えるべきではないでしょうか?

年金は「積立貯蓄」ではない

先にも述べましたが「損だトクだ」という議論が出てくる背景には「年金が保険であること」があまり理解されていないことが一番大きな要因だと思われます。こういう考えをお持ちの方は年金が「積立貯蓄である」と誤解されているのだと思います。

自分が支払った年金保険料は国が預かり積み立てて、それを将来自分が受け取るのだ、と考えている方は意外と多いようですが、これは間違いです。年金の運用は「賦課方式」という形がとられています。現在自分が支払っている「年金保険料」は現在の年金受給者の財源となっています。つまり日本の年金制度は現役世代から年金世代への「仕送り方式」であるといえます。自分が年金をもらう側になったときはその財源は自分が支払った保険料ではなく、その時現役世代が支払っている保険料が充てられるわけです。

年金受給者のなかには数年しか年金を受け取れない人、全く受け取れない人(つまり長生きできなかった人)も当然いるわけです。そういった方々に支払われるはずだった「年金」は思いがけず長生きした人の年金の財源となるわけです。

まさしく年金は「共助」の仕組みによって運営されているのです。

年金が保険であることをご理解いただけたでしょうか?長生きのリスクに備えるため年金保険料は確実に払い込みをしていきましょう!それは自分の為でもあるし社会の為でもあるのです。

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