社会保険の60歳以上の特例

定年後、同じ会社に継続して再雇用される場合、健康保険が定年前の保険資格が自動的に継続されます。特に手続きは不要で、健康保険証もそのまま使用できます。
何もすることは無く、大変ラクなのですが、ひとつ注意すべき点があります。
それは「給与が下がっても保険料はそのまま」ということです。
なお、標準報酬月額が2等級以上下がった場合は下がってから4か月後に保険料が見直されます。ただ保険料は「後払い」のため、実際に下がった保険料が適用されるのは4か月+1か月=5か月後となるのです。

継続雇用後の給与は現役時代の平均70%程度、と言われており、多くの人が「2等級以上」下がることになると考えられます。3割も収入が落ちるのに4か月間は現役並みの保険料を支払わねばならないのは、結構きついですよね・・・

ここで「60歳以上の特例」の登場です。
この特例は60歳以降継続雇用で働く場合、現在の保険資格を「継続」するのではなく、「新たに保険資格を取りなおすことが出来る」というものです。
資格の切り替えは誕生日を境に行われるため、誕生日の前日までが「古い保険証」、誕生日から「新しい保険証」に切り替わります。
保険資格の喪失と取得を同じ日に行うため「同日得喪」と呼ばれているものです。
誕生日から保険資格が切り替わるため、継続雇用後給与が1等級でも下がった場合、すぐに保険料が下がることになります。

ただデメリットもあります。
一つは新しい保険証が届くまで1~2週間かかること。この間病院に罹る場合はいったん全額負担となり、保険証到着後7割が払い戻しという形になります。
もう一つは扶養家族がいる場合、再度扶養申請を行う必要があることです。
給与が下がるため、扶養家族の収入によっては扶養が認められない可能性があります。
ご自身や家族の状況を確認し、判断する必要がありますね。