年金積立金額は現在219兆円
8月にGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)から年金積立金の2023年度第一四半期(2023年4月~6月)の運用結果を発表しました。それによりますと、この3か月間の収益率は9.49%、収益額が+18兆9,834億円との事。累計の資産額が219兆1,736億円に達していることがわかりました。
運用利率9%越えというのは、なかなかの実績だと思います。累計資産額が219兆円を超えていることも、日本の年金財政にとっては明るい出来事と言えるのではないでしょうか。GPIFの資産運用がうまくいっていると言っていいと考えます。
年金積立金とは?
そもそも、年金積立金とは何なのでしょうか?日本の年金の財源は「年金保険料」「国庫負担(税金)」からなっています。そしてその年に年金として支払われることのなかった「保険料」の余剰金が、将来世代のために「年金積立金」として積み立てられ、運用されているのです。
年金積立金の占める割合は年金財源全体の「1割」
日本の年金の財源は国民(被保険者)が支払う「年金保険料」と「国庫負担金(税金)」になります。年金の支払いに充当されなかった「年金保険料」は将来世代のために積み立てられて、運用されています。これが「年金積立金」です。
年金積立金は、物価上昇率や賃金上昇率にも左右されない年金財源の安定化のため、年金財源の1割ほどに充当されています。2020年度の年金給付額は約56兆円になりますので、6兆円弱が年金積立金から使用された計算になります。
長期分散投資のお手本のような運用実績
さて、2001年から2023年までのGPIFの年金積立金の運用実績を見てみましょう
2008年から2009年にかけての「リーマンショック」や2020年の「コロナショック」の時にはさすがに資産を減らしてはいますが、そこを過ぎれば長期的に見て右肩上がりのグラフとなっています。まさに長期投資の典型的な成功例であると言えるのではないでしょうか。マスメディアは大きく減ったときには「年金積立金の運用に失敗した。日本の年金は大丈夫なのか」と大騒ぎしましたが、その後著しく回復していることにはほとんど触れていません。こういったニュースしか見聞きしていない人々は年金に対して不安感を持ったとしても当たり前ですよね・・・。
またGPIFのホームページには「基本ポートフォリオの考え方」という項目もあり、2020年度以降現在までは国内株式、外国株式、国内債券、外国債券にそれぞれ25%づつ投資して運用する、としています。完全に1/4づつ4つの資産に分散しているわけで、われわれ個人投資家と同じような考え方で運用を行っています。
ちなみに2019年度までのポートフォリオは国内債券35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%だったようです。「年金財政上必要な利回りを満たしつつ、最もリスクの小さいポートフォリオを選定した結果、以下のような基本ポートフォリオとしました(※GPIF HPより引用)」 とのコメントが掲載されていました。
また分散投資については
- 1位になる資産は当てられない→だから4資産に分散して投資を行う
- 卵を一つのかごに盛るな→有名なことわざをここでも見る事ができました
といった記載も見つけることができました。
以上のようにGPIFのホームページには個人投資家にとっても非常に参考になる示唆や記事があふれていると感じました。運用方針もまさに「長期分散投資」のお手本を見るようです。
ぜひ投資初心者の方々や投資を始めようと考えている方はGPIFのホームページに一度アクセスしてみては?