2023年 2月 の投稿一覧

結局年金はいつから受け取るのが一番得なの?受給時期の判断の目安になる「プラス12年の法則」

年金は「繰り上げ」ても「繰り下げ」ても受け取れる

現在日本の年金制度は60才~75才の間で自分で自由に年金の受給開始時期を決めることが出来ます。

所謂「標準」の受給開始時期は65才になったとき。これよりも早く受け取る場合が「繰り上げ受給」、遅く受け取る場合が「繰り下げ受給」となります。

「繰り上げ」を選択すると1か月繰り上げる毎に0.4%年金は減額され、60才から受給開始した場合0.4x60か月=24%の減額となり、これが一生続きます。

「繰り下げ」を選択した場合は1か月繰り下げる毎に0.7%年金は増額され、70才から受給した場合は0.7%x60か月=42%の増額となり、75歳まで繰り下げた場合は0.7%x120か月=84%の増額になるのです。

そこで気になってくるのが繰り下げた場合の「損益分岐点」。例えば68才受給開始にした場合、受給額は0.7%x36か月=25.2%増えた金額を一生受け取れますが、65才から受け取っていた場合の3年分の年金は受け取れていません。何歳まで生きれば元がとれるのでしょうか?

「プラス12年の法則」とは?

社会保険労務士の増田豊氏の著書『結局、年金は何歳でもらうのが一番トクなのか』の中で増田氏は「プラス12年の法則」を提唱しています。

その「法則」とは、年金の受給時期を65才以降に繰り下げた場合、「受取開始年齢に12年足した年齢になったとき」に「65才から受給した場合の年金総額に追いつく」といったものです。

つまり、69歳まで年金受給開始を繰り下げた場合、69+12=81才の時に生存していれば、65才から受給した場合と同じ年金総額になったという事になります。この後は生きている間は繰り下げで増額した年金を一生受け取れるわけですから、繰り下げて「トクをした」という事になるわけです。(税金・社会保険料は勘案せず)

ただし、70才以降75才まで繰り下げた場合は、税金・社会保険料(年金にもかかります!)が高くなるため「手取り額」が減り、「プラス12年」では追いつけなくなるケースも出てきます

「平均寿命」ではなく「平均余命」を基準にしよう

そもそも自分が実際何歳まで生きるのかが分かれば、いろいろ考える必要もないわけですが・・・

わからないにしろ、何らかの「基準」があったほうがいいですよね。

我々FPや保険業界で利用する基準は「平均余命」です。「平均寿命」ではありません。

平均寿命というのは「今年生まれた0才の子供が将来何歳まで生きるか」という数字になります。

これに対して「平均余命」は「現在の年齢からあと何年生きれるのか」という統計データになります。

厚生労働省HPより引用

現在65才の男性は平均的には85才まで生きる可能性が高い、と判断できます。70歳まで年金受給を繰り下げた場合の年金繰り上げの「損益分岐点」は70+12=82才となりますので、繰り下げてメリットを得る確率は高い、と言えます。

まあ、これはあくまで確率上のお話です。もちろん自分が何歳まで生きるかなんて誰にもわかりません。あくまでも一つの「目安」としてお考え下さい。

興味のある方は増田豊氏の著書『結局、年金は何歳でもらうのが一番トクなのか』をお読みになってはいかがでしょうか。

つみたて投資で元本が2倍になるまでどのくらいの運用期間が必要?「126の法則」でカンタンに把握できる

これからつみたて投資を始めてみよう、とお考えのあなた。投資元本が2倍になるのにどのくらいの期間が必要だと思いますか?簡単に知ることのできる「法則」があります。それが「126の法則」です。

この法則は慶応大学理工学部教授の 枇々木 規雄氏が「積立投資の複利効果を概算する簡単な計算ルール」というレポートの中で提唱された法則になります。

この「126の法則」は、積立投資や積立預金を行った場合に「積立年数x利率(%)=126」という数式で資産が積立元本の2倍になるまでの積立年数や運用利率を求めることが出来る、というものです。

つまり「年数」を求めたい場合は「126÷利率」という数式で、「運用利率」を求めたい場合は「126÷積立年数」という数式で簡単に求めることができる、という公式になります。

分かり易くするために表にしてみました。

【積立元本が2倍になる「126の法則」の使い方】枇々木 規雄「積立投資の複利効果を概算する簡単な計算ルール」より出典

運用利率が3%の場合、元本が2倍になるのは42年後、という意味になります。

毎月2万円ずつの積立を20才から始めた場合、3%の利率で運用すると62歳の時、資産は「2万x12か月x20年=480万円」の元本が2倍の「960万円」になる計算ですね。

この「法則」は下記のようなものもあります。

  • 積立投資の元本が1.5倍になる「76の法則」
  • 積立投資の元本が1.5倍になる「190の法則」

それぞれ上記の表の「126」を「76」や「190」に入れ替えて計算することで、それぞれの運用利率や運用年数を知ることが出来ます。

ここでは詳細は割愛しますが「早見表」をつかって様々な倍率の「法則」を導き出すことが可能です。

セカンドライフの資産運用の見通しを判断するために、是非覚えておいてください。

2024年からNISAが大きく変わるけど・・・NISAは今始めるべき?それとも2024年まで待つのがいい?結論は・・・

前回、2024年から始まる「新NISA」についてその改正のポイントをお話しました。
そこでこれからNISAを始めようと考えている方から質問を受けたのです。
「NISAは今すぐ始めたほうがいいの?それとも来年、新NISAが始まるまで待ったほうがいいのかしら?」

私の答えは・・・・
「今すぐ始めるべき!」です。

今すぐ始めるべき「理由」

その理由は
「現行のNISAで運用する額は、新NISAの上限額とは別枠だから」ということです。

現行の「つみたてNISA」の年間投資額の枠は40万円まで。「一般NISA」は120万円までです。
今年つみたてNISAを始めたとすると、現在のNISAで投資を行えるのは今年の12月までとなり、24年1月以降は株や投資信託を購入することは出来なくなります。
但し、これは新たに購入することが出来なくなるだけで非課税での運用自体は「一般NISA」は最大120万円を5年間、「つみたてNISA」は最大40万円を20年間続ける事ができます。

つまり今すぐNISAでの投資を始めれば、新NISAの生涯投資上限額1800万円とは別に40万円または120万円を「現行NISA」で運用出来る事になります。

40万円を年率3%で運用できれば20年後には72万8000円になる計算です。実に80%増です。
おまけに利益32万8000円には税金がかかりません。

今すぐ始めたほうが良い、と思いませんか?

新NISAって何が変わるの?カンタンな言葉でザックリ説明します

年末に発表された自民党の「税制改正大綱」に、NISAの大きな制度変更が盛り込まれ話題になっています。
たくさんの記事を新聞やテレビ、ネットで見ることができますが、専門用語も多く「イマイチよくわからない」という方も多いかと思います。
そこで、このブログではざっくりと今回の変更の概要を、極力「専門用語」を排し、皆様にお伝えしようと思います。

そもそもNISAってなんだっけ?

NISA(にーさ)ってそもそもどういう制度なんでしょう?
一言で言うと「株式投資や投資信託で儲けた利益に税金がかからない口座」ということになりますかね。
通常は儲けに対して約20%の税金がかかります。100万円株で儲かっても20万円所得税がかかり手取りは差し引き80万円、といった感じです。
でもNISA口座で株を購入すれば、100万円の儲けにかかる税金はゼロ。100万円がそのまま手元に残る、というわけです。
こんな結構な制度ですので、それなりに色々制限が設けられています。
今回の改正でこの「制限」が大幅に緩和された、ということになっています。

1年間の投資限度額が「最大120万円→最大360万円」に

改正点その1
<1年間の投資限度額が「最大120万円→最大360万円」>
NISAは年間の投資額に上限が定められています。
改正前は年間最大120万円まで(一般NISA口座)でしたが、今回の改正で
3倍の360万円になりました。※この金額は「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の合算額ですが、ここでは詳しい説明は省きます。

非課税期間「20年→無期限」に

NISA口座での株による利益に税金がかからない期間はいままでは最長20年と定められていました。
今回の改正でこの「期限」が」撤廃されNISA口座で運用できる期間が「無期限」となったのです。

非課税で生涯保有出来る限度額が「1800万円」と新たに定められた

改正点その3
<非課税で生涯保有出来る限度額が「1800万円」と新たに定められた>
新NISAでは生涯、利益を非課税で運用できる限度額が1800万円と定められました。この金額hが「元本の額(購入額)」となり、利益を含んだ「保有額」ではありません。
また、この限度額は保有資産を「売却」した場合は、その売却分を新たに1800万まで購入することが可能です。
【例】1800万に達した状態で保有額100万円の株式を売却(内訳:元本80万・利益20万)→新たに80万円の株式の購入が可能

このように新NISAは積立投資を行う個人投資家にとって、非常にメリットのある制度改正となっています。
現在NISA口座を利用している人はもちろん、これから積立投資を考えている方々も是非口座の開設を検討してみてはいかがでしょうか?
いままでのNISAと比較しても始める価値は大きい、と考えます。
私ももちろん、利用したいと考えています。

「もっと詳しく知りたい!」という方は、是非コメントをいただきたいと思います。
分かりやすく、お返事させていただきます。