定年の人生は、お金の準備だけでは幸せになれない

「再雇用が終わったら、何をするか」

皆さんは、この問いに対して具体的なイメージを持っていますか?

定年後の生活を考えるとき、多くの人の意識はどうしても「お金の準備(年金や退職金)」に偏りがちです。もちろんお金は不可欠ですが、お金の不安さえ解消できれば自動的に老後が幸せになるわけではありません。

現在、私自身も再雇用制度を利用して働く一人の当事者です。同時に日々同世代のサラリーマンの方々と接するファイナンシャルプランナー(FP)でもあります。今回は、再雇用期間の満了を見据え、FPとしての専門知識と私自身のリアルな視点を掛け合わせて整理した「7つの備え」をご紹介します。

①月5万を「小さく」稼ぐ ― お金より「必要とされる感覚」

公的年金だけでゆとりある生活を送るのは、多くの方にとって現実的ではありません。しかし、ここでの目的は生活費の補填だけではありません。

重要なのは、「収入=生きがい」という視点の転換です。

シルバー人材センターへの登録。またこれまでの資格・経験を活かした週数日の勤務など、「雇われて稼ぐ」選択肢は様々です。月に数万円でも自分で稼ぐことは、社会から「必要とされている」という自己肯定感に直結します。それによって生活に程よい緊張感を与えてくれます。

また「社会とのつながり」を持ち続けながら、年金だけでは不足する生活費を補う事ができます。結果として資産の目減りを防ぐことができるのです。ライフプランシュミレーションを実際に作成してみると、65歳~70歳のが「収入ゼロ」の場合と「月収5万円」の場合では、資産寿命が大きく異なってきます。「小さく稼ぎ続ける」事がとても重要なのです。

②小さく起業する ― 「雇われる」から「自分で選ぶ」へ

①と同じ「稼ぐ」でも、こちらは雇用延長とは異なり「自分の裁量で働く」という選択肢です。

「60代からの起業なんてリスクが高い」と思うかもしれません。が、実は逆です。住宅ローは完済に近づきます。子どもの教育費も終わります。加えて退職金や年金という強力なセーフティネットがある年代だからこそ、思い切った挑戦ができます。

ポイントは「絶対に大きく始めない」こと。

店舗や在庫を持たず、初期投資を極限まで抑えましょう。自分の得意分野の延長線上で始めるのが鉄則です。コンサルティングや講師業、これまでの経験を活かした個人向けサービスなど、「小さく試せる」のがこの年代の強みです。

私自身は65歳で再雇用期間が満了を迎えたら、FP事務所を開業するつもりで今から準備を進めています。月1万円でシェアオフィスを借りる予定です。そこで住所を借りて対外的には事務所として位置づけます。実際は業務は自宅とシェアオフィスで行うつもりでいます。在庫を抱える仕事でもありませんし、初期費用は私の小遣いの範囲で何とかするつもりです。うまくいかなかったら「やーめた」と廃業すればいいだけなのでかなりの「ゆる起業」になります。売り上げも年金の足しになればいい、程度しか考えていないので先に述べた「月5万」が目標です(笑)

③家以外の居場所 ― 定年後に一番多い失敗

定年後に最も陥りやすい失敗は、「仕事関係の人間関係が退職と同時にすべて消滅してしまう」ことです。

会社という枠組みが外れたとき、あなたにはどこに居場所があるでしょうか。地域活動、趣味のコミュニティ、あるいは資格の勉強仲間など、家庭でも職場でもない「第三の場所(サードプレイス)」を意識的に作っておくことが重要です。

ちなみに、②のように自分で小さく事業を始めれば、その活動自体が新たな社会との接点となり、豊かな居場所になり得ます。朝「仕事場に行ってきます」とシェアオフィスに向かえば、旦那はサラリーマン時代と同様家から居なくなるので、妻もホッとすることでしょう(笑)

④健康は一番の資産 ― すべての土台

この7項目の中で、絶対に欠かしてはいけないのが「健康」です。健康を失えば、他の6つの項目はすべて崩れ去ってしまいます。

FPの視点から言えば、健康維持は「最高のリスクヘッジであり、リターンの高い投資」です。日々の適度な運動や食生活の改善は、将来の医療費や介護費という「見えない負債」を最小限に抑える確実な手段となります。

⑤学び続ける / ⑥新しいことに興味を持ち実践する

この2つは、認知機能の維持と日々の生きがいの両面で強い効果を発揮します。

私自身は今現在もFP資格の上級試験に挑戦中です。全く新しい趣味を始めるのもよし。ハードルを低く設定し、まずは小さく始めてみることが大切ではないでしょうか?

また、②で触れた「小さな起業」に向けた準備や挑戦そのものも、まさに「新しいことへの興味と実践」の最たる例と言えます。

⑦付き合う相手を選ぶ ― 人間関係の「質」への転換

現役時代、私たちは上司や取引先など、付き合う相手を自由に選ぶことはできませんでした。しかし、退職後は違います。これからは「誰と時間を共有するか」を自分で選べる特権があります。

良質な人間関係は、幸福度や健康寿命に直結します。

もし②のように自分の事業を持ったなら、「誰と組んで仕事をするか」「どのようなお客様を相手にするか」までも自分で決めることができます。人間関係を「量」から「質」へと転換していく時期なのです。

再雇用期間満了・定年後を輝かせる7つの備え

まとめ

今回ご紹介した7つの柱のうち、①と②は「収入を得る」という共通点を持ちながら、「雇われる」か「自分で選ぶ」かという対照的な選択肢です。

FPとしてお伝えしたいのは、定年後の起業は「危険なリスクを取る」ことではなく、「小さく試せる安全な選択肢が増えた」と捉えるべきだということです。

そして、これら7つの項目は独立しているわけではありません。健康という土台の上に、学びや居場所、人間関係が構築され、互いに支え合うことで豊かな老後が作られます。

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