
「子供や孫に資産を残したい」。そう考えたとき、皆さんの頭に浮かぶのは「相続」でしょうか、それとも「生前贈与」でしょうか。
FP(ファイナンシャルプランナー)という職業柄、私は日々、税制や資産形成のシミュレーションを行っています。税負担の軽減という「数字上の正解」だけを追い求めるなら、相続の方が有利になるケースも少なくありません。
しかし、一人の人間として、そして資産承継の専門家として、私自身は「生前贈与派」であることをあえて申し上げておきます。というわけで、あなたにとって望ましい資産継承の方法は「相続」なのか「生前贈与」なのか今回は考えてみませんか?
なぜ、あえて「相続」ではなく「生前贈与」を選ぶのか
その理由は至極シンプルです。
「自分が本当に渡したい人」に、「渡したいタイミング」で、「渡したい金額」を自分の手で渡せるからです。
相続との決定的な違いは、そこに「自分の意志」と「確認」が存在するかどうか。相続は、自分がこの世を去った後に実行されます。つまり、自分の財産が本当に望んだ形で使われたのか、受け取った人がどれだけ喜んでくれたのかを、この目で確かめることができません。
「一番必要なとき」に届ける価値
例えば、孫に「大学の学費」として資産を役立ててほしいと願ったとします。もし相続という形を取った場合、実際に資産が孫の手に渡るのは、孫がすでに社会人になり、自立した後かもしれません。
あるいは、子供の生活資金として残したいと願っても、相続が発生する頃には、彼らにとって最もお金が必要だった子育て期や住宅購入期が過ぎ去っているかもしれません。
「生前贈与」であれば、教育、結婚、住宅取得といった人生の大きな節目に、ピンポイントで支援の手を差し伸べることができます。お金の価値は、いつ手にするかによって大きく変わるのです。
お墓の前より、今この場所で
そして、生前贈与には数字では測れない「心の報酬」があります。
それは、相手から直接受け取る「感謝の言葉」です。
相続でお金を引き継いだとき、残された家族は感謝してくれるかもしれません。しかし、それはお墓の前での報告になってしまいます。それよりも、元気なうちに自分の手で手渡し、相手の驚く顔や、安堵した表情、そして「ありがとう」という言葉を直接受け取る。これほど幸せな資産の引き継ぎ方はないのではないでしょうか。
資産の渡し方「相続」「生前贈与」について考えてみましょう
もちろん、無計画な贈与は自分自身の老後資金を脅かすリスクもあります。だからこそ、私たちFPが存在します。
- 自分の老後をしっかり守れるか?
- どのタイミングで、いくら贈与するのが最適か?
- 贈与税の控除をどう活用するか?
これらを冷静に分析した上で、最後は「誰の笑顔が見たいか」という想いを大切にすること。それが、後悔のない資産承継の第一歩だと私は信じています。
皆さんは、いつ、誰の笑顔が見たいですか?
「お墓の前で感謝されるより、今、笑顔で語り合いたい」——もしそう思われるなら、一度これからの資産の渡し方について、一緒に考えてみませんか。


