定年を迎え、再雇用制度を利用して新たなスタートを切った最初の給料日。 ワクワクしながら給与明細を開き、そこに書かれた振込額を見て、「えっ、手取りってこれだけなの!?」と愕然とした経験はありませんか?

実は、私自身がまさにそうでした。

「給料は現役時代の半分になったのに、税金や社会保険料はしっかり引かれている…」 これは、同世代のお客様から本当によくご相談いただく、再雇用のリアルな悩みです。

今回は、定年前後のサラリーマンが直面する「手取りの壁」と、人生後半戦を豊かに生きるための働き方の戦略について、私の実体験を交えながらお話しします。

再雇用は働き損な気がする?知っておくべき「税金と年金の壁」

「給料が下がったのだから、引かれるものも減るだろう」と思いがちですが、現実はそう甘くありません。年金をもらいながら働く場合、以下のような落とし穴が潜んでいます。

  • 税金の合算: 給与と年金が合算されて所得として計算されるため、意外と所得税や住民税がかかってきます。
  • 社会保険料の負担: 給与額面に対して社会保険料がかかるため、手取り額へのダメージが大きく感じられます。
  • 在職老齢年金の仕組み: 給与と年金の合計が一定額を超えると、年金の一部(または全額)がカットされてしまう制度です。

「こんなに毎日頑張って働いているのに、なんだか働き損な気がする…」と、モチベーションが下がってしまい、モヤモヤを抱えてしまう方が非常に多いのが現状です。

私の実体験:再雇用の収入に見合った「ダウンサイジング」への挑戦

だからこそ、60代からの再雇用での働き方には明確な「戦略」が必要です。

私自身も定年後、シニア社員として再雇用で働き始めましたが、この「手取りと業務量のバランス」には真正面から向き合いました。給与が半分になるのであれば、働き方や背負う責任もそれに見合ったものにするべきだと考えたからです。

周囲と相談しながらこれまでの業務をしっかりと棚卸しし、今の収入に見合った働き方へと「ダウンサイジング(適正化)」を図りました。

もちろん、簡単なことではありませんでした。会社に自分の考え方を説明し、業務の調整を交渉し、最終的に目標とするバランスを達成するまでには2年近くの歳月がかかりました。

しかし、その結果はどうだったか。 現役時代のように身を粉にして無理をすることがなくなり、再雇用後の人生のための準備にあてる「体力と時間と心の余裕」がはっきりと生まれました。

人生後半戦は「いくら稼ぐか」より「いかに楽しむか」

60代からのフェーズにおいて最も大切なのは、価値観の転換です。

これまでは「いくら稼ぐか」「どうやってキャリアを上げるか」が中心だったかもしれません。しかし人生後半戦は、「残った手取りと時間を使い、いかに人生を楽しむか」を考える時期です。

肩の力を抜き、自分自身の心と体、そしてご家族との時間を大切にする。そのための土台作りが、働き方のダウンサイジングなのです。

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