前回、相続における「財産」の種類について触れました。「財産」にはプラスの財産もあればマイナスの財産もある、という話です。その際、マイナスの財産(=借金)を引き継がないために「相続放棄」という方法がある、とお伝えしました。
今回は「相続放棄」について少し詳しくお話させていただきます。
「相続放棄」とは「親の借金を背負わずに済む方法」
相続放棄とは「プラスの財産もマイナスの財産も、一切合切引き継がないという意思表示」です。「借金が多いから財産はいらない!」という時に選べる選択肢です。この意思表示は、裁判所(家庭裁判所)に「相続放棄をします」と手続きをして認めてもらうことで効力を持ちます。
どんな時に「相続放棄」を選択するのか
では、どういうケースで「相続放棄」を選択するべきなのでしょうか?
※借金が多い場合
プラスの財産よりも、借金(マイナスの財産)の方が多いことがわかった時。
例: 亡くなったお父さんに、預金100万円、借金500万円があった場合。
相続放棄をすれば、500万円の借金を代わりに払う必要がなくなります。
※特定の相続人に財産を集中させたい場合:
兄弟間で「家を継ぐ人に全部任せるから、自分は権利を放棄する」というような時。
相続放棄について覚えておきたい3つのポイント
なお、相続放棄を選択するにあたって、覚えておきたいポイントが3つあります。
◆期限がある
「相続があったことを知った日」から 3 ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てる必要があります。
◆一度放棄したら
一度相続放棄が認められると、原則として撤回(取り消し)はできません。
◆全てを失う
プラスの財産(思い出の品など)も含め、一切の財産を受け取る権利を失います。
このように相続放棄とは、親の借金を引き継がないためには非常に有効な方法です。但し、相続放棄を選択すると「思い出の品」なども一切引き継ぐことができなくなります。相続が発生したら、被相続人(親)の財産状況を調べることが非常に重要になってきます。普段から家族間でコミュニケーションを取っておくことが極めて重要です。


