プラチナ
NISAとは
プラチナNISAは、65歳以上の高齢者を対象とした新たな少額投資非課税制度です。2026年の税制改正で導入が検討されている制度で、高齢者の「貯蓄から投資へ」の流れを後押しするのが主な目的です。
現在のNISA制度では対象外となっている「毎月分配型投資信託」が非課税になる点が最大の特徴で、年金収入と組み合わせて生活資金の補填に活用するように設計されています
プラチナNISAと従来のNISAとの違い
現行の新NISA制度と比較すると、以下のような違いがあります
項目 | 新NISA | プラチナNISA(検討中) |
---|---|---|
対象年齢 | 18歳以上 | 65歳以上 |
投資対象商品 | 一般株式、ETF、投資信託など(毎月分配型は原則対象外) | 毎月分配型投資信託が対象に |
投資目的 | 長期・積立・分散投資による資産形成 | 定期的な分配金の受取りと生活費への充当 |
非課税投資枠 | 成長投資枠:年間240万円 つみたて投資枠:年間120万円 生涯投資枠:1,800万円 | 年間120万円程度(検討中) 最長5年間(検討中) |
現行の新NISAが「長期の資産形成」を目的とするのに対し、プラチナNISAは「定期的な現金分配」を目的としている点が最大の違いです。
「毎月分配型投資信託」の特徴
プラチナNISAで中心となる「毎月分配型投資信託」は、以下のような特徴があります
- 運用で得た収益の一部を毎月分配金として投資家に支払う仕組み
- 通常、分配金には約20%の税金がかかるが、プラチナNISAでは非課税になる
「毎月分配金」の落とし穴
プラチナNISAの最大の特徴は「毎月分配型投資信託を買える」ということです。運用益から毎月一定の割合の「分配金」が口座に振り込まれます。特に年金世代には「自分で年金が作れる」と魅力的に映ります。
ここで知っておくべきことがあります。「毎月分配型投資信託」の分配金には二つの種類があります。「普通分配金」と「特別分配金」です。
普通分配金は、投資信託の運用によって得られた利益から支払われる分配金です。つまり、投資信託が利益を出して、その一部をあなたに還元しているということです。
分配金には二つの種類がある
これに対し特別分配金とは投資信託の運用によって利益を得ることができなかったにもかかわらず支払われる分配金の事を言います。この分配金の原資はあなたが持っている投資信託の元本です。つまりこれは純粋な利益ではなく、あなた自身のお金が戻ってきているだけなのです。タコは餌が取れないときは自分の足を食べて飢えをしのぐ、という話になぞらえて「タコ足配当」とも呼ばれる事があります。
毎月入ってくる分配金が「普通分配金」であれば問題はありませんが、もしこれが「特別分配金」だったとしたらどうでしょうか?毎月分配金が支払われるたびに、自分の投資している投資信託の元本が減り続けていることになります。将来受け取れる運用益も減ることになります。
プラチナNISAの必要性に疑問
プラチナNISAの利用者は、投資初心者が中心となると思われます。しかも「高齢者」です。「毎月分配型投資信託」の仕組みを十分理解した上で、この商品を購入することができるのか、かなり疑問です。
NISAのメリットの一つに、金融庁が予め投資初心者に適している、と思われる商品を「指定」し、その商品しか購入できないところにあります。つまりNISAで購入できるのは「金融庁のお墨付き」を得た商品、ということで初心者でも安心、ということが言えたわけです。しかしながら「プラチナNISA」ではそうは言えなくなる、と考えます。
以上の事から、私はプラチナNISAの必要性に大きな疑問を感じています。購入後「こんなはずではなかった」と考える投資家が続出するのではないか、と危惧をしているのです。
プラチナNISAの利用を考える場合は、FPなどの専門家に意見を求める事をお勧めします。